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3−4. まとめ
東京一八丈島航路のフェリー、A丸(3,751t)、B丸(3,708t)の船内環境計測結果では、機関系統の相違によるものと思われるが、騒音、振動共にB丸の方が総じて大きく表れている。騒音レベルは、オーバーオールレベル63dB(B丸)で、IMO(国際海事機関)の船内騒音規制コード(居室60dB)を若干超えていた。特に騒音は低周波成分の卓越する傾向が見られ、このような低周波領域では、30Hz前後が人間にとって不快感の覚える音である。また、超低周波騒音の分析では、A丸、B丸とも16Hzにピークがあり、B丸の16Hz−94dBは人間の感覚閾値(16Hz−90dB)を超えるレベルである。これらは、船酔いの主要因である船体動揺刺激の他に副次的な影響として考慮することも必要であろう。また、B丸の計測室内においては室温が全般的に高く(復航:三宅島一東京、被験者嘔吐)、被験者は不快感を訴えている。いずれも船酔いを起こす誘因となるものと思われるが、乗り心地の評価にこれらのファクターをどのように取り入れるかは今後の検討課題である。
なお、本航路における動揺、人体反応計測結果及びアンケートの解析は、大阪府立大学工学部・海洋システム工学科細田研究室において行われた。
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